購入よりも売却の仲介手数料の値引業者が多く、値引率も高くなっています。売却の仲介手数料値引業者についてお話ししていきます。
まず、購入よりも売却の方が仲介手数料値引きが活発に行われているのはなぜでしょうか?
それは仲介手数料を値引きしてでも物件を預かりたいからです。購入の場合の仲介手数料値引きは、値引きをする1件の案件のみの話ですが、売却の場合は、物件を預かることでその物件が集客してくれるため(広告に掲載されることで、購入のお客さんが集まってくる)、1つの物件が何件、何十件もの案件を生んでくれる可能性があり、値引き以上の見返りがあると言うわけです。
売主は仲介手数料を削減できて、不動産業者は物件を預かれて、それで集客ができる、お互いにWIN-WINの関係に思えますが、そうとは限りません。売主にとってはリスクがあります。
<リスク1:売却に時間がかかる>
前にもお話ししましたが、大手の会社ほど仲介手数料値引きを嫌います。なので仲介手数料値引きを積極的に行うのは中小の会社で信用力も低めのところが多くなります。高額な物件を買うのに不安なお客さんは、信用力のある会社に問い合わせするので、中小の会社は集客力が劣ります。
また仲介手数料値引きをしていると、他社のお客さんを付けられてしまうと、儲けがなくなりますので(自社のお客さんであれば、売りの仲介手数料値引きでも、買いの仲介手数料が取れる)、他社のお客さんを紹介しない(囲い込み)と言った手段をとる値引業者も多いです。値引率が高ければ高いほど、囲い込みの率も高くなるのが実情です。
購入のお客さんは2種類います。①物件で動くお客さん②営業マンで動くお客さん
①のタイプは、物元である値引業者に直接問い合わせをしますが、②のタイプは、信頼している営業マンに問い合わせをします(インターネットで見た物件が他社で出ていたとしても、その営業マンにこの物件見れますか?って問い合わせます)
囲い込みをしてしまうと、②のタイプのお客様の集客が難しくなります。
以上から、かなり間口が狭くなりますので、売却に時間がかかることが多いです。よほど割安な価格で市場に出せば、早く決まるかもしれませんが、仲介手数料値引き以上に安く売られてしまったら意味がないですよね。
<リスク2:安く売られてしまう>
以前に売却仲介手数料0を謳っている業者の成約事例一覧のチラシが入っていたことがあり、それを見たのですが、全体的に見て、相場よりも安く売られている印象でした。『ウチは安く売るよ』と言っているようなチラシで、そんなチラシを作った意図はよくわかりませんが…
私が4,500万円で売った分譲マンションと、同物件同間取りが3,500万円で売られていたケースもありました。この場合、4,500万円で売った方は、仲介手数料が約152万円のため、4,348万円が売主の手元に残りますので、仲介手数料0で3,500万円で売った場合は、848万円損していることになります。
以上のように、売却の仲介手数料値引きは売主にとってリスクも大きいです。売却を急いでおらず、不動産業者並みに知識のある方は、仲介手数料値引業者を利用しても良いと思いますが、そうでなければ、あまりお勧めしません。
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